漆原友紀「蟲師 7巻」

新刊が出ていたので購入。4編。「雷の袂」と「棘棘のみち」が秀逸。「雷の袂」では息子と母の最後のやりとり「なら 一緒に死のうか」以下のやりとりで、思わず涙が出てしまった。締めの、結局は相まみえないところの残滓ありまくりの様子が心に突き刺さってくる。「棘棘のみち」はクマドの暗さがいい。暗さの中にある本能的な優しさというのだろうか。それが垣間見えるところにとても魅力を感じた。この話のギンコはただの狂言回しでしかなく、作者もクマドを描きたかったんだろうな。だからちょっとギンコの存在が余計に思えてしまうところもある・・・。「花 惑い」は桜の美しさ妖しさが想像よりも表現できてなかったので少々残念。「鏡が淵」は女の絶望が今ひとつ伝わってこなかった。