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京極夏彦「邪魅の雫」

読了。
さすが京極夏彦。実に読みやすい。北野勇作を読んだ後だと尚更読みやすく感じた。きちんと世界を構成する設定を説明し、謎を明らかにするのも飽きない程度に丁度良いタイミングで持ってくる。世界をきちんと文章で定義付けているし、実に芸が細かい。
これぞ大衆小説。人気があって売れるのも当然と言った感じ。
帝銀事件とか731部隊とか歴史に対する見方とかは、個別で見ると浅いけど、小説の中身を構成する世界からするとその見方で十分だし、そう言う見方だからこそ貫徹するテーマを描けるってのもあるでしょう。
ただ、今回はいつも以上にきっちり構成をしすぎてる部分があって、情感の部分が弱い気もする。あと、通しで読むと、この「邪魅の雫」と言う題名はちょっといただけない。ラストの盛り上がりを考えると、あの惑う女を形容したものの方がよかったような。この話しの中で一番妖怪になっていたのは、あの女なのだし。
ちなみにマイベスト京極堂は「魍魎の匣」。妖しい世界観がたまりませんでした。今も時々読み返すぐらい。