立ち回り

朝から母を病院に迎えに行く。手術の前と言うことで、外出許可を貰って羽を伸ばしてもらおうとの考えだ。
母は元気そうだが、やはり少し混乱をしているようだった。自分の手術に対する不安を口にしたかと思うと、私の生活に対する不安を口にする。「私のことよりも今は目の前の自分の身体を心配しなよ」と話すのだけど、やはりそこは母の母たる所以なのかもしれないなと思った。
話はとりとめもなく様々なことに飛び、それでもやっぱり最後は手術の事に。やはりわからないことに対する不安というモノは相当なモノなのだろう。同じ病室にいる人たちの話も聞いた。その人たちの症状はかなり重いらしく、それも母の不安をさらに大きくしているようだ。道すがら色んな事を話した。
食事のあと母を温泉まで送った。母は先生に「手術後はしばらく温泉に行けない」と聞き、温泉に行きたがっていたのだ。友人たちと楽しそうに温泉に向かう母を見送った。
明日、何とか時間を作りたいのだけど、明日が無理であれば、母に会えるのはもう手術の日当日のみ。こういう時、お互いの物理的距離の遠さが恨めしく思える。
僕に何が出来るのだろうか。
仕事のことは必要を感じなかったので話さなかった。ただ「明日は会えないかもしれない」とだけ告げると、母はとても寂しそうにしていた。見ていられなかった。