井筒俊彦「イスラーム思想史 何がコーランの思想を生み出したのか」中公文庫

イスラーム神学・イスラーム神秘主義・スコラ哲学(東西)の構成で、13世紀前までの思想の移り変わりを解りやすく記述。これはべらぼうに面白かった。イスラーム神学の独自性や、各種思想を取り入れたスーフィズム、そしてギリシヤ哲学を独自に発展させたイスラムの哲学。どれも興味深く読むことが出来た。イスラムという一神教でありながらも、その思想はこんなにも多彩なのかと考えさせられた。当時の思想の最高峰はイスラームなんだろうなとも思った。巻末の文では「スーフィズム」にもより深く切り込んでいて、「スーフィズム」の特異性にはとても興味を覚えた。これを読む前に中村元三枝充悳「バウッダ 佛教」を読んでいたので、その先のものとしてのイスラムも面白かった。