アニメ「崖の上のポニョ」

言わずと知れたスタジオジブリ。現在のところ、宮崎駿の最終作品。
現代版人魚姫とも受け取れるが、そこに描かれているものはどこか歪んでいる。場面場面は整合するのだが、ふと改めて考えるとおかしなところばかり。しかしストーリーが破綻しているわけではなく、ただただその微妙な違和感がひたすらに恐怖感を与えてくる。自分を含めた大人が、現実といわれるものを真っ直ぐに見すぎているせいで、だからこそそのアンテナに違和感が「恐怖」として捉えられるのだろうか。
しかしこの作品が素晴らしいということは間違いなく、そうした感情を与えてくる作品というのが他に存在しないというところにも特異性があるのかもしれない。
超怪物級の作品と言っても良いかもしれない。
中盤の一番の盛り上がり部分が津波の部分だろう。「津波」というものを想像力豊かにこれでもかこれでもかと描き、それがアクションとして成立している。すごい表現力だと思う。が、これは3.11を経験した我々にはちょっとナーバスになってしまうほどの表現でもあると思う。だからこそ、3.11よりも先にこの作品が生まれ、皆が体験できた、世に放たれたことの意味も大きい。
なんにせよ、凄い作品だった。