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菊池俊彦「オホーツクの古代史」(平凡社)

オホーツク文化と呼ばれる、北海東北部・サハリン千島列島の古代文化について、学術的な成果を時代順に追っていく構成。最終的には、トカレフ文化や古コリャーク文化やタリヤ文化などを含めた環オホーツク海としての考察まで。
基本的に学術成果を時系列で追っている形式のため「じゃあ結論はどうなの?」と初心者は思ってしまうかも知れないけれど、読み進んでいくと結論だけが書かれたものよりもより深く文化圏のイメージを造形出来た。それは文字の歴史資料が少ないために、基本的に考古学の分野であり、土器や貝塚などの出土品からの考察にたよらざるを得ないところが関係しているのだとは思うが、だからこそ、この構成は生きてくるのだなと思った。
オホーツク文化には基本的に日本の本州の政権は関わらず、大陸との関係の方が強そうだというのが面白い。数少ない例として、元の時代の記録にアイヌサハリンへ侵出しようとしていたことが残されていることからの考察があり、不勉強のためにこれを知らなくて、とても興味深く読み進むことが出来た。
あと、交易品であるセイウチの牙のやりとりの検証も、興味深かった。
通常の日本史、世界史ではない視点を提供していて、視野を広げることが出来た。