安丸良夫「神々の明治維新 -神仏分離と廃仏毀釈-」(岩波新書 黄版)

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

とても良かった。安満利麿「日本人はなぜ無宗教なのか」で欠けていたピースがガッチリハマった感。
幕藩体制での信仰の形からご一新を通して上から変化させられる信仰と変わらない信仰、そして日本的な「信教の自由」の獲得とその限界まで、余すところなく網羅している。
特に興味深かったのが、廃仏毀釈にかかわる数年で日本の信仰の形がぐっと曲がった様子や、迷信打破的な近代的啓発と(現在から見ると)論理的ではない神道の両立(両輪として機能する)の仕組み、国家統合の道具である信仰の代替としての教育への収斂など。真宗のことについては、当時の地に足をついた信仰の形と、現在の状況と対比して考えると興味深かった。
読む度に新たな発見があった。これは何度も読んで自分の身にしたい。