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シュロモ・ヴェネツィア著『私はガス室の「特殊任務」をしていた』(河出書房新社)

映画「サウルの息子」を見て、関連書として興味があったので読んだ。
映画の中ではゾンダーコマンダーと呼ばれたアウシュビッツ内で「特殊任務」をしていた人の証言記録。「特殊任務」としては、ガス室に送られる人々の誘導やその後処理について。そしてアウシュビッツ後の苦しい逃亡までを証言。
証言者はギリシャに住んでいたイタリア国籍を持つユダヤ人ということで、そういう立場でのユダヤ人たちがたどった歴史というのも見ることが出来る。とても興味深い内容だった。
証言者と歴史学者の対話で構成されていて、公正さと第三者の観点も入れ込んでいる。
狂った時代だが、いつでもそうなる可能性はある。そうなった時はこんな地獄が待っている。証言者も絶望しているが、その時代を過ぎても人々は興味そのものをなくし、見ることすら拒否し、あったことすら存在しないことにしている。つないでいかないといけないことは多い。