吉本敏洋「グーグル八分とはなにか」

読了。良著。ネットによるリアルへの浸食の結果起きている歪みについて実例を挙げて説明。よく調べられている。この「Google八分」を持って「ネットの光と影」などど言った単純なとらえ方になってはいけないだろう。本書の半分はリアルの映し鏡としてのネット。もう半分は権力を持ちながら無自覚なGoogleに対する告発となっている。基部で問題となっているのはリアルそのものだ。これまではコストの問題から無視されていたことがネットの拡大により次々と表出するなか、どう対処する必要があるのかという社会そのものへの問題提起であり、その上でネットの権威であるGoogleの対応が問われている。ここで問われている「影」はリアルそのものだ。色々示唆を与えてくれる著作であり、また読み返したい。