青木和夫「古代豪族」(講談社学術文庫)

面白い!
取り扱う時代は広く、国造から将門まで。国造、郡領、土豪と言う分類。きちんと「豪族」の定義から始め、丁寧に各時代を追っている。主に地方の有力者たちを取り上げている点が白眉。地方と中央の関係性なども面白かったが、一番は各個人を個別に取り上げている部分。筑前国郡川辺里嶋郡大領「肥君猪手」、藤原鎌足吉備真備和気清麻呂、平時範、平将門。どれも興味深かった。
内容とは直接関係ないが、作者の紹介する「将門記」の表現が面白かったのでメモ。
火を遁れて出づる者は、矢に驚きて還り、火中に入りて叫喚す。・・・・・・千年の貯、一時の炎に伴へり。また筑波・真壁・新治、三箇群の伴類の舎宅五百余家、員の如く焼き掃う。哀しきかな、男女は火のために薪となり、珍財は他のために分かつところとなりぬ。」
また読みたいな。「将門記」にも手を出したくなった。