児童劇団 Pot Pokke ぽっとぽっけ 「ぺったりゆうれい」 @ 中央市民センターホール


DVLメンバーも所属している児童劇団ぽっとぽっけの公演。
今年は7月にアトリエ新人公演「ブレーメンの音楽隊」が行われ、去年が地下スタジオでの「ピエロ人形の詩」、そしておととしが今回と同じ「ぺったりゆうれい」でした。
今回は、おととしのメンバーが役を変えて演じていたり、アトリエ新人公演で活躍した子が入っていたりと見所満載の舞台になっていました。
会場は中央市民センターホール。ホールでのぽっとぽっけ公演はおととし以来ですね。ホールは500席あるようですが、日曜の遅い時間というのに、3分の2ちかく埋まっていて、にぎわわっていました。
このにぎわいは、今年の「ぺったりゆうれい」の一般公演が、今回はこのステージ一回限りというのもあるのかも知れませんね。例年なら2日間にわたって計4回以上やってますので。お客さんが集中したのかも。
舞台内容は色んなものがたっぷりつまっています。タップダンスや歌、がっつり演技、笑い、涙、それらがバランス良く舞台に組み込まれています。そんなエンターテイメントを含みつつ、話しの核となるのは、現代の子どもたちと戦時中の子どもたちの飾らない心のやりとり。それぞれの子どもたちが、それぞれの境遇を胸に自分の考えをぶつけ合って、それでお互いを知り合うというところ。
演技を通じて、こういったことを真剣に考え、省みることは有意義なことだと思えますし、このような児童劇団でしかできないことでしょう。そしてなにより、それを通じて演技で心を人に伝えるという経験は何物にも代え難いものだと思います。私のような大人でも、そのように役に真剣に取り組む彼ら彼女らのひたむきな姿を見ることで、多くのことを得ることが出来ました。
また、作り上げられた舞台を見ると、彼ら彼女らへの指導も最良のものだったのではないかと思われます。何よりも、良くある役者や身内による自己満足の舞台ではなく、また学芸会ではなく、エンターテイメントとして「お金を払って見るもの」として成り立っていた。そして、それだけじゃなく、彼ら彼女らの「心の入った舞台」になっていたのがその証拠でしょう。
本当に楽しい時間をありがとうございました。
これから学校での公演も控えているようですし、より良い舞台を多くの人に届けられると良いですね。
ここから下は細々とした感想など。

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全体的な流れは2009年とほぼ同じ。でも結構印象が違って見えた。それぞれの役柄も変えてあるように思えた。
最初にタップダンス(ハット使用)やジャズ風のダンスがあり、これって2009年はヒップホップだったように記憶してるんだけど、違ったかな。
髪型は、現代っ子たちは編み上げが多くて、ゆうれいたちは三つ編みが多かったかな。なるみちゃんはおさげだったと思う。美海ちゃんは青キャップ。
久保川くんがいきなり笑いをとりに行ってて、上手いな、と。
現代っ子たちの登場と戦時中のこどものゆうれいの登場。「教室を20年ぶりに開けた」って設定は前回あまり印象に残ってないけど、今回はやけに強調されてた。ゆうれいたちにぺったりされたときの様子とかも、前回は印象になく、今回かなり印象深かった。中でも、ぺったりされたときの、西岡優菜ちゃんの気持ち悪い笑顔が印象的で上手いなと思ったり。ラジコンネズミは相変わらず。四宮なぎさちゃんがネズミの顔マネしてて、それも印象的で上手いと思った。教室ではみんな上履きをはいてるんだけど、四宮なぎさちゃんの上履きが白の全カバーのやつだったり、女の子たちが赤の上履きのところを松山優里香ちゃんだけが青の上履きだったり、細かい役作りが印象的。
前回はやや良い感じだった先生同士の淡い恋の感じが今回はあんまり感じられなかった。ひろこ先生がちょっとツンケンしすぎのようにも思えたし、たけし先生もちょっと上の面っぽい感じだったかな。
おじいさんとふたりの孫登場。高田豊三さんが痩せててちょっと心配になった。20年ぶりってところのらいあちゃんの表情が良い感じだった記憶。
ゆうれいたちのお掃除。孫役の大池怜士くんが上手い。あとゆうれいたちのぺったりゆうれいのテーマソングも良い感じだった。で、そのあとは現代っ子たちのお掃除ダンス。これは前回と同じ感じ。このシーンがかなり好き。秋山美穂ちゃん×松山優里香ちゃんのホウキギターとか良いよねー。あと、盛り上がるところでハンドスプリング入れてきてて燃えたんだけど、これは2009年にはなかったような。良い感じでした。
松山優里香ちゃんが携帯で母と話すシーン。これは2009年の矢野樹里ちゃんの役を思い出した。表現がやっぱり違うな。
で、おじいさんによる授業。その話しを聞く場面だけど、必死でノートとってる演技に少々違和感。ノートをとる場面なんだろうか。ゆうれいたちの通りゃんせも、ちょっと雰囲気が足りない感じだったかな。まあ、前回は生歌だったし、山口輝くんの低音が効いてたってのもあるかもしれないけど。で、おじいさんの話しに向かっていく秋山美穂ちゃんが凄く良い感じだった。一昨年と同じ役なんだけど、やっぱり上手くなっている。セリフが空回りせず、きちんとその人の言葉になってたので、ずしんと来たね。
暗転してゆうれいたちによるテーマ曲。
劇中劇練習。「東京ブギウギ」と「リンゴの唄」。四宮なぎさちゃんの一番の見せ場で、表情いっぱいに、充分に歌い踊ってて「さすがなぎちょん!」って感じ。でもなぎちょんならまだまだ先に行けそうな感じ。秋山美穂ちゃんの自然な感じも良い感じでした。西岡優菜ちゃんはもうちょいかなあ。いっぱいいっぱいな感じでした。らいあちゃんの人をバカにした演技がすっごくハマってて、わたし笑い転げてました。「リンゴの唄」ではゆうれいたちも。笑顔で歌う三木映莉香さんと表情豊かな松田成未ちゃんが印象的でした。
暗転。西岡優菜ちゃんによる「初恋」。「五月雨は緑色〜」で始まるあれです。アカペラで生で歌ってて、声量もリズムもメロディーもバッチリ。あまりに上手くて心を一気に持って行かれました。西岡優菜ちゃんと言えば、Love 感謝祭でも「津軽海峡冬景色」をアカペラで歌ってて驚かされたんですが、選曲も良いですねえ。もっと西岡優菜ちゃんの歌を聴きたい。曲名「初恋」に合わせてひろこ先生の恋バナとかみんなの将来の夢の話しへ。この流れも今回の舞台独特かな。ここでは西岡優菜ちゃんのセリフが多く、重要な役回り。西岡優菜ちゃんのヘディングがちょっと失敗してたw 坂田ゆうきちゃんの力の入ったセリフも。あと安川敏貴くんも上手かった。
フリータイムにバラバラの行動をとる現代っ子たち。秋山美穂ちゃんの虫メガネ再来ですw でも前回みたいに「興味ある!」って感じじゃなく、淡々としてたような印象。四宮なぎさちゃんはダンスのステップ。レッスンの演技にしても、これはなんか中途半端だったような。ゆうれいたちの馬跳び、こわーい!の流れはおととしと同じだけど、良い流れですよね。現代と昔の恋話は、前回より弱め?
舞台変わって、松山優里香ちゃんとらいあちゃんの場面。母親のことと、彼氏のこと。すすりなき→ヤダーのながれは不発だったかな。その後はゴキブリで騒ぐたけし先生→新聞紙ではたかれるってところは割と笑い取れてたけど、ちょっと演技が荒く感じたかも。秋山美穂ちゃんの役に一昨年の矢野樹里ちゃんの役もかぶさってる?ゆうれいたちをたしなめるところの大池くん上手い。
夜のトイレのシーン。西岡優菜ちゃんは甚平かな。秋山美穂ちゃんはパジャマ。コミカルな演技。ここはゆうれいたちの演技の方が上手かったな。
朝、眠れなかったメンバー。橋本環奈ちゃんはピンクのパジャマ。今村美海ちゃんはねずみ色のスウェット? 四宮なぎさちゃんはパーカーに短パン。らいあちゃんはパーカーに黒のパンツ。松山優里香ちゃんはかわいいモフモフ。髪型は橋本環奈ちゃんがサイドにひとまとめ。今村美海ちゃんはサイド編み込みっぽく、全体ストレート。秋山美穂ちゃんは、後ろでまとめて流す感じ。西岡優菜ちゃんは前の方は細かくまとめて、後ろはふたつしばり。松山優里香ちゃんはサイド編み編み。四宮なぎさちゃんはそのままショート。らいあちゃんはポニーっぽいの。
ゆうれいたちとの対面。西岡優菜ちゃんのコミカルな表情良し。らいあちゃんは手を合わせたり肩を払ったりと細かい演技が良い感じ。
で、いよいよ見せ場のゆうれいVS現代っ子たち。そのあとは軍事教練。ちょっと台詞が聞き取りずらく、テンポもあってなかったかな。右松さんはパワフル。目線も良し。気合い入ってる。でも一昨年に比べるとちょっと太った? 古賀くんはまだまだって感じかな。まあ、右松さんと比べちゃうからかもしれない。メンバも教練に参加させられる。始めは不安な表情だけどやがて無表情になり、、、ってところが上手い。
東京ウギブキ。ゆうれいたちのおもい。ただ、おととしのみきちゃんほどの重い演技が入ってなかったのでちょっと物足りなさも。たのしいこと。うれしいこと。ゆうれいたちと現代っ子たちの素直な心のやりとり。一番重要なシーン。各メンバー、本当に気持ちが入ってて、とても良い感じだった。
はじめちゃんの独白。ゆうれいたちと現代っ子たちの心の交流。一緒に遊ぶゆうれいたちと現代っ子たち。そして別れ。「みかんの花」。消えるゆうれいたち。「一番先っぽ」。上に上がるドライアイス。幕。
舞台が終わった後には、全員によるストンプ風ダンス。これはおととしもそうでしたよね。三木さんとか、あのときいまいちだったメンバーも上手に踊っていました。でもやっぱりセンターの松田成未ちゃん松山優里香ちゃんは上手いですよね。西岡優菜ちゃんはちょっと甘い感じだけど、オッケー。秋山美穂ちゃんばっちり。今村美海ちゃんも意外と踊れててビックリ。
出演者紹介。橋本幸奈さんがちょっと方向間違っててほっこり。で、幕。19:49終わり。

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歌が生一本じゃなくかぶせだったのが、前回との大きな違いかな。あと恋バナ要素が少なくなっていたとか、細かいところでおととしと違ってるように思われた。
全体の印象としては、悪くないけど、まだまだこなれてないな、と。
まあ今回が公演が1回のみっていうのもあるんですが、やっぱり生ものの舞台で、観客とのコミュニケーション部分がまだよく取れてなかった感じが大きいかな、と。特に顕著だったのが「笑わせたいところ」なのに、タイミングがずれてしまって、「笑いをとることが出来なかった」ってところかな。そしてそれは笑いどころだけでなく、全体に作用して、全体をちょっとズレさせちゃってたような気がする。
公演の数をこなせば、その辺りの勘所も自然と入ってくると思われるだけに、このまま学校公演に入ってしまうのはちょっと心配かも。
演者は精一杯演じていたように見えました。手を抜いてたとか、そう言うのはまったく見られなかった。まさに体当たりの演技になっていた。ただ、大人の演者はちょっと演技が荒くも思えたかも。ちょっと慌て気味にも見えたし、形ばっかりのようにも見えたかな。
まあでも今回は一回しか見てないし、一回だけなので自分が見落としたところも多々あると思うのでその辺は勘弁してください。
でもミュージカルで生歌じゃないってのはちょっとひっかかったな。色々あるんでしょうが。

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以下は独断と偏見で、各メンバー印象など。あくまでも独断と偏見なので、「こいつわかってねえなー」って感じで読んでいただく方が良いと思います。
秋山美穂。前回と同じ役ながら、受け持つ部分はすこし増えてた印象。前回よりもずっと上手くなってて驚いた。特に上手いなあと思ったのが、自然な感じで劇団員さゆりを演じていたところ。ちょっとした仕草やなんかも、極自然。これってなかなか出来ることじゃない。役をすっかり自分のものにしてしまっているように思えた。また、メンバーの中でも全体を見てまとめている感じがして、頼もしく思えた。本当に驚かされた。
松山優里香。一昨年は矢野樹里ちゃんが演じてたあかね役。母親との確執の場面での感情の爆発はさすがに上手い。ただ、感情表現がプラスかマイナスかないように見えてしまう部分有り。もっと段階をもった繊細な表現も欲しいところ。あとは滑舌と発声かな。
西岡優菜。おととしは会場でチラシを配ってたのに、今回は主役級! で、それにしっかり真正面から取り組んでいて好印象。夢を語るところは特に重要なシーンなんだけど、丁寧に演じてた。またコミカルな演技もたくさん求められていて、それに全部応えられていたとは思わないけれど、しっかりとこなしていた。演技も台詞も役作りもまだまだ足りない部分は沢山あるけれど、求められてるものは誰よりも大きんじゃないかな。またそれは周りの期待の現れなんだろうな。それにちゃんと向かって行ってるってのは、誰にでも出来ることじゃないし、その先に成長があると思う。と言う前置きをしておいて、演技としては、突き抜け切れてない。自信のなさがそのまま演技に出てしまっている。そこから物足りなさを感じてしまう。まあ、これは場をこなせば何とかなるかなと思っているので、今はしっかり前を向いてがんばって欲しいな。
四宮なぎさ。中盤の大事なところを任され、しっかりとこなしていた。劇中劇の所は多分、四宮なぎさちゃん以外の子だとちょっと厳しかっただろう。それを違和感なくこなしていたのはさすが。また、役に対する入り込みもダントツ。しっかりと役作りをしているんだなと。普通の子ならこれで評は終わりだけど、なぎちょんはまだ先を目指してるだろうからわざと書くと、役の内を掘り下げている一方で、それが周りにどう見えているのか、伝えられているかというところでは、まだまだかなと思った。特に気になったのが、「たのしいこと、うれしいこと」の時の、演技に集中しているとき。前の「ピエロ人形の詩」の時もそうだったんだけど、演技の気合いが入ったときに、無意識だと思うけど、手をイジイジしちゃう癖が出てしまっていた。今回はズボンの裾をイジイジしていた。役に入ってがっつり感情表現出来ているのに、入り過ぎちゃって余計な仕草をしてしまっていた。でも、イジイジしなくても、例えば役の感情表現に観客がついてこれてなかったら、その表現の落差に戸惑っちゃうんだよね。役に入り込むだけじゃ足りなくって、それをどう表現するか、どう見えてるかってところまで行けたら最高だよね。
橋本環奈。初舞台?にしては、そつなくこなしていた印象。一方で無難さがちょっと面白くないようにも思えた。環奈ちゃんは舞台で周りが見えすぎてるのかなとも思う。役に入り込まないと深さは生まれないし、軽く見えちゃう。バランスって難しいですよね。まあ役どころの部分もあると思いますが。
らいあ。セリフはしっかり言えてたし、聞き取り安い。しっかりレッスン受けてるんだなって感じ。また表情も豊かで面白い。ただ、波があるように思えた。演技が安定していない感じ。すごく良いな!と思う部分もあるけど、あれ?物足りないなって所もある感じで、ちょっと物足りなかった。ただ、ゆうれいを見たときに肩を払ったり面白い表情したりと、センスはかなりあると思ってて、レッスンで安定した演技になるともっともっと良くなるだろうなと思ってる。今後楽しみ。
今村美海ちゃんは、かわいらしい役を素直にかわいらしく演じてた。ただ役としてはブレーメンのネコの方が演じ甲斐があっただろうなって感じかな。セリフもちゃんと言えてました。
ゆうれいたちについて。三木映莉香。演技に特徴がある感じ。あとをひく演技が上手いと思う。一方で、演技の幅がちょっと狭い? 松田成未。気持ちに合わせての表情表現に特徴。演技に心が入ってるのはわかる。ちょっと表現の種類が足りないかな。松浦みる。存在感に特徴。物事を伝える意志の強さの表現が凄く上手いと思う。
今回のゆうれいの役は全般的に言えるんだけど、悲惨さを訴える方ばかりが強調されてるんだよな。もっとイタズラして楽しんでるところとか、現代っ子の様子に戸惑ってるところとか、「悲惨さを訴える」以外の、もっと近しいところの感情表現がぐいぐい来たら面白いのに、と見てて思ってた。南菜々恵にはわりとそんな感じがあったかな。ただ、それは雰囲気の部分だけだったかもしれない。
あと、男の子は現代っ子ゆうれいで3人しかいないんだけど、どの子も特徴ある良い演技をしていて面白い。笑いもとりに行けるし、感情を入れるところではぐっと入れてくる。見てて3人とも上手いなあと思ってた。
以上
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