雪のひとひら

地上にうっすらと覆い被った白い雪。ほんの少しの変化のはずなのに景色は一変していた。いつものゴミゴミとした路地が何だか妙に美しく見える。キンと冷え切った空気。少しだけ積もっていた雪はすぐに溶けた。日差しがたまに顔を覗かせる。が、空から落ちる雪は、激しい風とともに終日降り続いた。ちょっとした吹雪の中、原付を走らせる。「こんな吹雪の中、営業活動をする俺ってステキ」とか「この冷え切った空気こそ美味い」とか、テンション高め。妙にはしゃいでしまう。ま、雪の少ない西国育ちだから、物珍しさが勝ってしまうのだ。まるで子供。
予想では明日も雪。今この夜の暗闇の中でもしんしんと雪が降っている。あと何日はテンション高くいられるだろうか。それとも、雪に飽きる前に、強い寒気団がいなくなっているのかもしれない。天気というのは、その日の人間の心理状態に大きな影響を与えるといわれる。今日この天気の変化は、僕にどれだけの心理の変化を引き起こし、そしてこれからの僕に幾ばくかの変化を引き起こしたのだろうか。
人生における雪のひとひら