立ちのぼる霧

朝から気温が高い。いつもなら30分は職場の窓を開けるのだが、今日はすぐに冷房を入れてしまった。昼も過ぎると気温は更に上がり、外を見やると日差しが強すぎてなんだか白っぽい風景になっていた。クーラーがついているものの、ブラインドに当たる日光が強すぎて冷房が効かず、汗がふきでてくる。16時過ぎにお客様のところに行く。雲は夏らしく分厚い入道雲。サウナの中にいるような、モワッとした熱気。この酷暑のなかにずっといるのは辛いだろうが、クーラーで冷えた身体には心地よい暑さにも思えた。お客さん宅で話していると激しい夕立。雨は20分ほどで上がり、お客さんのところを辞す。山の間を抜ける道を車で抜ける。昼の間に焼かれたアスファルトのせいか、濡れた路面から霧が立ちのぼっていた。普通の霧が上から重たくかぶさってくるものに対し、この霧は路面全体から上昇して消え去っていくのだ。ただの蒸気ではあるものの昇霧と云った方がその様子を上手くあらわしているように思える。通常の霧はよく見るものの、この昇霧は異景に思えた。たとえるならばアニメ「電脳コイル」で空間が不安定なときに出る電脳霧そっくりで、車で昇霧の中を駆け抜けているときに「おお、不安定な空間を突っ走ってるよ」と妄想して楽しい気分になったりした。業後、計算が合わないためか、なかなか業務が締まらない。そのせいで終礼が大幅に遅れてしまった。今日は異動の方の離任日であったが、なんだかメリハリのないお別れとなってしまった。締まらない終わりは気持ち悪いが、正式な歓送迎会は別にあるし、明日は休みだし、呑み込んで気にしないことにした。